ラスタの時間は停止している?!  『ルーツ・タイム ROOTS TIME』

『ルーツ・タイム ROOTS TIME』というラスタ映画を第七藝術劇場で見た。

2006年作ということだったので、今までのラスタファリアンやレゲエミュージシャンを描いた映画とは、また違うものを見せてくれるかと思ったが、なんというかいつも以上にコテコテのラスタ映画だった。

ラスタたちが口にする「ジャー!ラスタファーライ、ハイレ・セラシエ、なんとかかんとか…」というような決まり文句とか、やけに猜疑心が強く、凝り固まったような頑固さを発揮する彼らの態度とかは、まあ、カルトだからいいのだが、しかし、映画自身が、現在のジャマイカ社会や時代の変化とかをあまりに盛り込まなさすぎで、ちょっと首をかしげてしまう。ラスタ讃歌をしたいのは分かるが、ほとんど『ロッカーズ』のころのままの時代感覚のように思えた。

いや、『ロッカーズ』には時代意識と社会へのメッセージが明確にあったはずなので、これは単なる退行なのかもしれない。『ルーツ・タイム』って、堂々と名づけているのだから、その退行はまた自覚されているのだろう(作り手はそれを「退行」ではなく、「不変」とか「不動」と考えているのかもしれないが)。

すこし期待はずれだった。今回のルーツ・ミュージック特集では、他のレゲエ映画もプログラムが組まれているので、どちらかというとそちらを見たほうが面白いと思う。

映画『ルーツ・タイム』公式サイト