2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『同時代ゲーム』

課題にしている大江健三郎は、少しずつ進んでいるが、しかしなにぶんキャリアの長い作家なので、まだまだ読むべきものがある。『同時代ゲーム』は正直むちゃくちゃな作品だが、「村=国家=小宇宙」をどのように存在させ、どのように描くかという作者の方法…

『マリー・アントワネット』のかすかなサスペンス

ソフィア・コッポラの最新作『マリー・アントワネット』を見に行った。予想通り、マリー・アントワネットという誰もが知っていて、その意味ではあまりにも固まりきった定型的イメージをもつ歴史人物を、ソフィア・コッポラは、お得意のガーリッシュなファン…

『アメリカ黒人の歴史』

『アメリカ黒人の歴史』(岩波新書)を読みおえる。内容整理と印象に残った点 ①18世紀に最盛期をむかえる北米における黒人奴隷貿易、いわゆる「三角貿易」(イギリス―<ラム酒>→アフリカ―<黒人奴隷>→新大陸―<糖蜜>→イギリス)が、イギリスに「資本の本…

読了

アイザック・ドイッチャー『非ユダヤ的ユダヤ人』読了。

『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』

マーティン・スコセッシ作『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』をDVDで鑑賞。ボブ・ディランは思った以上に自己を神秘化するのが好きな人のように思えた。神話化されてきた初期のディラン像を、映画はより多面的に掘り下げ、その実態を明らか…

『極北のナヌーク』

近くの映画館でドキュメンタリー映画の原点といわれるらしい『極北のナヌーク』を見る。カナダの北東部、夏は流氷をかきわけカヌーを操り、冬は氷原にそりを走らせる、という極寒の風土の中で暮らすイヌイット族の一家族の、厳しくもつつましく誇り高い狩猟…

『ジャマイカ 楽園の真実 LIFE&DEBT』

しばらく前に家の近くの小さい映画館でやっていたのに見逃していたのだが、ようやくレンタルで見つけて『ジャマイカ 楽園の真実 LIFE&DEBT』を見る。ちょっと前に1978年のボブ・マーリーらのピース・コンサートを見て「現在のジャマイカはどうなってんのん?…

「BABILONIA」って、そういうことですか。

『グッドモーニング・バビロン』を見た。期待していたこととは違ったので、もうひとつかな。自分では説明できないので、アマゾンのDVD内容説明から以下引用。「映画の歴史を語る上では避けて通れない傑作、D.W.グリフィスの『イントレランス』の美術ス…

『娘・妻・母』

レンタルDVDで成瀬巳喜男の『娘・妻・母』を見る。夫に先立たれて出戻った長女・原節子にたいして、他の家族が同情的でありながらも、夫の生命保険を手に入れたと聞いてはお金を借りようとしたり、長男・原雅之が資産運用を失敗して家を手放さなければな…

『王の男』

強風吹き荒れる中『王の男』をスカイビルまで見に行く。

ジャマイカ・ピース・コンサート

1978年ボブ・マーリーほかさまざまなジャマイカのミュージシャンが集って開かれたピース・コンサートのライブDVDを見る。当時ジャマイカで対立が激化し、武力闘争にまで発展していた人民国家党と労働党の両党首を、ボブ・マーリーがステージ上で手を握ら…

今度は見るべきものあり

ジョージ・クルーニー主演で1930年代の合衆国南部を描いた『オー・ブラザー!』を見た。当時のカントリー・ミュージックやゴスペルが演奏され、またプロテスタント宗派の一つバプティスト派の「浸礼」がするところや黒人たちに過酷な労働が課せられたという…

ブライス・ダラス・ハワードが見れなくなった

ラース・フォン・トリアーの『ドッグヴィル』を見たが、あまりのひどさにあぜんとなった。作中随所に露見する、作り手のあざとさと薄っぺらさ、センスの無さは、ちょっと他に例を見ないのではないか。単に作品の出来が悪いとかではなく、もっと手前のレベル…

レヴィ=ストロースの自由と『ビッグイシュー』お正月号

突然だが、レヴィ=ストロースの言葉。「人間がさまざまな権利をもち得るのがまず生物としてであるならば、種としての人類に認められているそれらの権利は、他の種の権利によって当然の制約を受ける。したがって、人類の諸権利は、他の種の存在を脅かすよう…

これで1/1に実家の新年会にでるのは、8年目

学生のころから一人暮らしになって以来、1時間ほどしか離れていない親の家に全く寄りつかず、6年も7年も顔を見せなかった時期があった。最近は、正月に姉や兄の家族も集まるので、なるべく顔を出すようにしている。今年もまた。数えてみるとそういう習慣…