2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

柄谷行人講演「力の構造」4

浅田:どうもありがとうございました。えー、羽仁五郎の『都市の論理』という本がありましたが、そこでは、公共の市民自治について論じられていて、それを思い出しました。また、お話の背景としていえば、60年以降に朝日・岩波的なものが貶められるような傾向…

柄谷行人講演「力の構造」3

こういったことは、文学においてもパラレルなこととして現象している。日本の近代の批評家はずっと「私小説」を批判していた。そういう意味で、日本では〈3〉の「私」の領域がずっと大きかったといえる。一時期、プロレタリア文学が一世風靡しました。これ…

柄谷行人講演「力の構造」2

ヨーロッパでもどこでもそうですが、都市は城壁に囲まれていました。そこにはギルドや教会などの個別の社会があり、割合に独立的な組織のネットワークとして、形成されている。そこに属することで個人がでてくる。それに対する公共ということも、同時に存在…

柄谷行人講演「力の構造」1

京都造形芸術大学大学院連続公開講座第6回 柄谷行人「力の構造」(12/16) ほんじつ、じょうきのこうざをちょうこうにいった。タイトルからして、『あっと at』でげんざいれんさいしている「『世界共和国へ』に関するノート」において、てんかいされている「…

ちくごよみ『戸籍って何だ』6

家族の論理と国家の論理が一本になって、国の柱になっているこのイデオロギーは、「家族国家観」と呼ばれる。これを裏で支えていたのが「氏」であり、その記録簿である戸籍であった。天皇家においてそれに対応するのが、「天の真名井(あめのまない)」(天…

ちくごよみ『戸籍って何だ』5

天皇制を支えるもう一つのシステムは、分家による「氏」の恵与である。たとえば、源氏や平氏は、天皇家から分かれることでそれぞれの「氏」を与えられた。これらは大和王朝以来おこなわれてきたという点で根深い。ただし「氏」の恵与は、天皇の王権に限らず…

ちくごよみ『戸籍って何だ』4

「家」制度 明治の官僚・役人は、おもに旧士族がになうことになるが、この階層が「戸籍」を導入・管理したことによって、一般民衆にまで、日本の封建制において構築された儒教的な制度が強固に適用されることになる。じつは、「戸主は長男が継承し、妻は夫の…

ちくごよみ『戸籍って何だ』3

ここでちゅうもくされるのは、はじめに「居住関係登録」としてはじまったものが、とちゅうから「身分関係登録」あるいは「所属機関登録」に、そのじっしつをへんかさせていることだ。 げんざいのにほんにおいてこせきは、「こくせき」をしょうめいするものと…

ちくごよみ『戸籍って何だ』2

「明治十九年式戸籍」(1898年)一斉調査をとりやめ、届出制になる。この時代の徴兵制では戸主・後継人については、免除されていたため、戸籍のごまかしによる徴兵逃れが続出。これを食い止める目的で、本来住居関係登録であったものを、身分登録制度に純化…

ちくごよみ『戸籍って何だ』1

こせきのもんだいを、しりたくなったのは、にっていしょくみんちしはいかの、ちょうせんでおこなわれた「そうしかいめい」について、かんがえていたからだ。岩波新書の『創氏改名』(水野直樹)をよんでいて、こうみんかせいさくそのものがもつ、むじゅんや…

台湾シネマ・コレクション2008 『遠い道のり』

しんさいばしまでいって、そのじかんにやっていた「台湾シネマ・コレクション2008」の『遠い道のり』をみる。 とくべつにきたいもなかったのだが(ちゅうか、えいがのないようを、まったくしらずにはいったんやけど)、しっこくの、ひかりのないがめんのとお…