『十八歳、海へ』

藤田敏八監督の1979年作品『十八歳、海へ』をDVDで先日見た。

原作は、中上健次の1つの短編小説だが、中身はかなり違うそう。実は、中上の同名の短編小説集はまだ読んでいない。どちらにせよ、映画は映画として見るにしくはない。

森下愛子と永島敏行演じる予備校生のカップルが、目的も意図も不明瞭な心中未遂を引き起こし、小林薫演じる、いわくありげな五浪の男が巻き込まれる、というかたちで話が進展してゆく。「予備校生」という年代を特徴的な社会的存在として取り上げる、というのは、今では、なかなか想像つきにくいというか、思い出しにくいような感触だと思う。ある種の楽天性があって、おめでたいと批判はできるのだけれど、それを隔世の感ととらえる現在の感性が、本当は問題なのかもしれない。

森下愛子が、当然最高。

十八歳、海へ [DVD]

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