リントン・クウェシ・ジョンソンの

ダブのリズムにのせて、人種差別告発・反権力思想の詩を朗読(朗誦?)する在英ジャマイカ人リントン・クウェシ・ジョンソン。独特なスタイルによって、70年代半ばからUKレゲエのシーンにその存在感あらわしたこの詩人の、朗読会・音楽制作・人権運動・政治活動をとらえたドキュメンタリー映画『ドレッド・ビート・アンド・ブラッド DREAD BEAT A'N BLOOD』を見る。

けっこうインタビューのシーンが多くて、70年代当時のイギリスにおける黒人のおかれた差別状況や、ジャマイカ独立直後の1963年に11歳でイギリスにわたってからの自身の進んできた道、ダブ・ポエトリーと呼ばれるリズムをそなえた詩の創作についての考えなど、いろいろと語っている。そのリントンの語り口は落ち着いていて、非常に知的な印象をうける。クールでカッコイイ。

詩にはパトワ(ジャマイカなまりの英語)がふんだんに盛り込まれている(よう)で、「バビロン」というような単語も聞きとられたが、『レゲエ入門』の牧野直也氏によると、ラスタとは少々距離をおいているそう。むしろまっとうな社会主義的反権力思想からの政治闘争を組織していた。そこでも自作の詩を朗読し、同志・支援者とともにデモに繰り出していた。

パトワどころか英語が分からないので、どのような語感として受け止められるのかわからないが、しかしカッコイイぶんだけ、説得力があるのではないか、と思った。