ストローブ=ユイレを見た!

正直寝かけた。もうちょっと予備知識を仕込んでから見にいったほうがよかったかもしれない。

ジャン=マリー・ストローブダニエル・ユイレ。妥協のない映画づくり、ヨーロッパの精神風土に向き合う厳格な作風、そういう伝説的な映画を見る機会は、関西ではなかなかなかったようだ。例によって近くのプラネットプラスワンで特集上映されるということで、『放蕩息子の帰還/辱められた人々』(2003)と『あの彼らの出会い』(2006)の2本を見た。

前者はエリオ・ヴィットリーニの小説の一部を映画化。「労働者と農民が共生する村に、土地所有を主張する地主から派遣された使者や元パルチザンがあらわれ、その挑発により共同体が崩壊してゆく過程を鮮烈に描く、云々」とチラシの解説にはある。演出としては、美しい森の中で役者たちは、朗読するような形で長いセリフを、突っ立ったままあるいは座ったまま朗々と語り続ける。セリフを読み上げる人物たちをくっきりとらえる強いショットを、さまざまに組み合わせて、それが人物たちの対話を重層的なものに感じさせる。何度も丁寧に積み上げるようにその「物語=映画の世界」が構成されている。後者もスタイルは、にている。

抽象的でいまいちの説明かもしれない。しかしあと5回くらい見れば、もっと味わいが出そうな感じ。また何度も寝てしまうかもしれないが。とりあえず、「ストローブ=ユイレを見た!」といばれるかな。

映画の後、広瀬純という人のトーク・イベントがあって、これはとてもよかった。“ヨーロッパの戦後すぐにあったはずの人民の自由の可能性を、ストローブ=ユイレは、重要視し思考し続けた”というようなことを説明してくれて、分かりやすかった。非常に信頼できる印象を持った。

http://www.planetplusone.com/(プラネットプラスワン)