フィデル・カストロの元気な姿がそこに

キューバの指導者フィデル・カストロの直接のインタビューに成功したオリバー・ストーンドキュメンタリー映画コマンダンテ COMANDANTE』を先日(もう2週間ほど前)見た。

去年あたりから病気でほとんど公式の場には出てこなくなっているようだが(快復の兆しがあることもいろいろと報道でとりざたされているようだが)、それより以前の“フィデル”の元気な姿がそこにはある。闊達でなかなか饒舌だった。合衆国の映画監督ならではの、オリバー・ストーンのすこし意地悪な質問にも、だいたいは率直に、ときには機知をまじえて正面から受け答えをしているのは、やはり好感が持てる。

しかし、映画としてはいまひとつ踏み込みがたりず、中途半端な印象もぬぐえない。カストロの語ることもそれなりに知られており、特別驚くべき話があるわけでもない。インタビューの様子を描くのに何台ものカメラを駆使していて、いろいろな視点の映像をつないでいるのだが、あまり意味がなく、内容の奥行きのなさを単に編集でごまかしているだけではないか、と疑ってしまう。「カストロの生の声をとらえれば、それだけでセンセーショナルだ」というような単純なことしか考えていなかったのかもしれない。まあ、USでは確かにそのようで、結局、合衆国では上映さえされなかったとか。

とりあえず“フィデル”の元気な姿を見たい!という欲求にだけは、こたえてくれる映画といえる。

コマンダンテ COMANDANTE』サイトhttp://www.alcine-terran.com/comandante/