ちくごよみ『戸籍って何だ』1

こせきのもんだいを、しりたくなったのは、にっていしょくみんちしはいかの、ちょうせんでおこなわれた「そうしかいめい」について、かんがえていたからだ。岩波新書の『創氏改名』(水野直樹)をよんでいて、こうみんかせいさくそのものがもつ、むじゅんやにじゅうせいに、きづかされるわけだが、では、にほんてきな「うじ」せいどを、きょうようしようとするときにあらわれた、そのこうみんかせいさくの、ないてきなむじゅんは、ちょうせんのみんしゅうだけではなく、にほんのみんしゅうにも、あてはまることではなかったのか?と、おもえてくるのだった。


それでいろいろと、にほんじんのなまえにかんする、れきしをあつかっているほんは、ないかとさがすのだったが、「にほんじんのみょうじのゆらいは……」というような、てあいのものばかりで、ろくなことがかいていないほんがおおかった。すこしめせんをかえていって、ようやく『戸籍って何だ』佐藤文明著(緑風出版)をてにとったのだが、これがじつはどんぴしゃだった。


まずは、こせきせいどが、めいじいこうどのようにして、ていちゃくしていったか。


壬申戸籍」(1873年

一斉調査による住居関係登録制度。江戸時代の人別帳をモデルとして作成された。名目上は近世身分制度によらないものであったが、しかし出生事項や身分事項欄にかなり露骨に、差別記載が全般的におこなわれた。そのためいわゆる部落差別などの封建身分制度を温存する大きな原因となる。また、犯罪歴・兵歴・疾病歴・所有する田畑や牛馬、不動産などまで記載され、国勢調査の様相を呈していた。調査は6年ごとに行なう予定だったが、明治政府はそれを実施できずに、登記や変更届をメモ付けしてすませてしまう。