ちくごよみ『戸籍って何だ』3

ここでちゅうもくされるのは、はじめに「居住関係登録」としてはじまったものが、とちゅうから「身分関係登録」あるいは「所属機関登録」に、そのじっしつをへんかさせていることだ。


げんざいのにほんにおいてこせきは、「こくせき」をしょうめいするものとしてみなされている。つまりこせきにはいっているものが、にほんじんであり、にほんじんだけがこせきにはいることができる。しかし、そのはじまりの「壬申戸籍」では、そこにすんでいることをあらわすだけのしょるいであり、じっさいに、いわゆる「とらいけい」みんぞくが、こせきにいれられている。やまとみんぞくだけが、にほんにすんでいたのではないのである。だから、そのじてんでは、にほんじんかどうか、というもんだいはありえなかった。とうぜん、そんなものなかったからだ。


そんなことよりも、あたらしいこっかけんりょくにとっては、ちょうぜい(徴税)やちょうへいのために、すべてのものをいっかつとうろく・いちげんかんりすることが、いちばんのもくてきだった。そしてそのもくてきついきゅうのなかで、とうろくをきょうせいするために、さべつをもうけるようになる。とうろくしないものは、「こくみんがい」であり「ひこくみん」であると。つまり、こせきのうちとそとをわけるりくつそれじたいが、さべつによってつくられているのである。ここで、けんめいなひとは、すぐにきづくだろう。「ということは、そういうさべつをおこない、そのさべつにしたがうものが、にほんじんのていぎなのか?」と。


もちろんそういうことになる。しかし、なぜそんなことが、かのうになっているのかについては、もうすこしこうさつをようする。いちばんもんだいになるのは、いわゆる「いえ」せいど=こせきせいどが、てんのうせいイデオロギーをどのようにささえているのか、というてんである。